投資の中でも「株式投資」と「不動産投資」は、比較的メジャーな投資といえます。そのため、何か投資をしたいと思っている人は、この2つの投資のどちらをすべきか迷っている人もいるでしょう。
そこでこの記事では、不動産投資と株式投資を7つの項目で比較していきます。人によっては株式投資と不動産投資、どちらが合うか異なります。ポイントを抑えつつ、自分がどちらのほうが合っているのか考えてみてはいかがでしょうか。
まずは、不動産投資と株式投資の比較表をお見せします。
項目 | 不動産投資 | 株式投資 |
収益性 | 高くなりやすい | やや低い |
変動リスク | 低い | 高い |
初期費用 | 高い | 低い |
ランニングコスト | 高い | 低い |
流動性 | 低い | 高い |
税金 | 優遇なし | 優遇あり |
投資ハードル | 高い | 低い |
ここでいう不動産投資は、アパート投資や区分投資など、物件を保有して家賃収入を得ることをメインにする不動産投資です。また、株式投資は株式を長期保有する前提の投資であり、その株式から配当収入をメインとします。
不動産投資と株式投資の収益性を比較すると以下の通りです。
項目 | 不動産投資 | 株式投資 |
収益性 | 高くなりやすい | やや低い |
不動産投資は比較的収益性が高くなりやすく、株式投資の収益性はやや低いといえるでしょう。
不動産投資の収益性が高くなりやすい理由は、不動産投資ローンによってレバレッジ効果が高くなるからです。ここでいうレバレッジ効果とは、「小さい資金で高額な資産を取得すること」になります。
不動産投資ローンでどのくらい借入できるかは人によって異なりますが、たとえば初期費用300万円を用意しており、3,000万円の物件を購入することも可能です。
そして、投資においての収益性は「保有資産額×利回り」で決まるので、保有資産額を高額にできる不動産投資は収益性が高くなりやすいのです。高く「なりやすい」としている理由は、あくまで投資に成功しているという前提だからです。
上述のように、長期の株式投資は配当益がメインの収益となります。その配当益は、たとえば東証一部上場企業であれば、利回りは平均で2%という数字です。仮に、配当利回りの高い銘柄を選んだとしても5%前後程度だとします。
不動産投資の利回りは物件によって異なりますが、たとえば返済後(手取り)利回りが3%だとしても、レバレッジ効果の違いによって収益性は以下の通りです(初期費用300万円前提)。
投資に成功している前提ではありますが、このようにレバレッジ効果の高さによって不動産投資は高い収益を狙うことが可能なのです。
不動産投資と株式投資の変動リスクを比較すると以下の通りです。
項目 | 不動産投資 | 株式投資 |
変動リスク | 低い | やや高い |
ここでいう変動リスクとは、それぞれの投資の収益源のことです。つまり、不動産投資でいうと家賃収入、株式投資でいうと配当益が該当します。
建物は経年劣化していくので、基本的には築年数に応じて家賃は下落していきます。しかし、たとえば家賃が1年間で半値になる…ということはほぼあり得ないでしょう。
しかし、ほかの金融商品であればこのような下落はあり得るので、その意味では家賃は「下落していくものの暴落するリスクは小さい」といえます。
収益源の変動リスクが小さいほどその投資の安定性は高いといえるので、不動産投資は比較的安定性の高い投資といえるでしょう。
株式投資の配当益は、そもそも企業が利益を株主に還元するという仕組みです。そのため、以下のようなときは配当金が下がるか、配当金がゼロ円ということもあり得ます。
上記の通り、そもそも業績が赤字のときは配当金がゼロ円になる可能性は高いですし、利益を出しても設備投資などに回すこともあります。このように、配当金は家賃収入ほど安定性が高くなく、変動リスクはやや高いといえます。
不動産投資と株式投資の初期費用を比較すると以下の通りです。
項目 | 不動産投資 | 株式投資 |
初期費用 | 高い | 低い |
初期費費用に関しては株式投資の方が低いです。それぞれ、初期費用にはどの項目があり、どのくらいの費用がかかるのかを理解しておきましょう。
不動産投資の初期費用は以下の通りです。
借入額や物件の評価額によって初期費用は変わります。一般的には、新築物件で「購入額×4%~5%」、中古物件で「購入額×7%~8%」ほどです。
そのため、3,000万円の新築物件なら120万円~150万円ほど、中古物件なら210万円~240万円の初期費用がかかります。新築と中古の差は「仲介手数料」です。
一方、株式投資の場合の初期費用は「投資する金額」以外にはありません。株式を売買するときは証券会社に口座を開くだけであり、口座開設は基本的に無料です。
そのため、証券会社にアクセスできるPCやスマホ、ネット環境さえあれば株式投資することは可能です。
不動産投資と株式投資のランニングコストを比較すると以下の通りです。
項目 | 不動産投資 | 株式投資 |
ランニングコスト | 高い | 低い |
ランニングコストとは、その資産を保有することによって発生する、継続的なコストのことです。
不動産投資のランニングコストは以下の通りです。
特に、ローン返済額は毎月10万円を超えるケースも多いです。また、上記のランニングコストはどのような状況のときも発生します。
仮に、空室になって家賃収入がゼロになっても、築年数が経過して家賃が下落しても、ランニングコストは発生するということです。
そのため、家賃収入および物件の空室率・家賃下落率と、上記のランニングコストを加味しても収益が高い物件を選定することが、不動産投資で成功する重要な要素になります。
長期の株式投資ではランニングコストはあまりかかりません。というのも、株式投資でいうランニングコストは以下のコストだからです。
売買手数料とは、株式を売買するときにかかるランニングコストです。ただ、長期の株式投資の場合は売買する機会は少ないので、手数料が発生する頻度も少ないです。
また、証券会社からお金を借りて株式の売買を行う「信用取引」には、その借り入れたお金に対して金利が3%ほど発生します。ただ、長期保有を前提として長期の株式投資では、信用取引を利用する機会は少ないでしょう。
項目 | 不動産投資 | 株式投資 |
流動性 | 低い | 高い |
流動性は明らかに株式投資が高くなります。不動産投資には地主、物件所有者、仲介業者、金融業者など数多くの人が関わることになります。一方で、株式投資の場合は個人で証券会社に登録するだけで始めることができ、インターネットを通じで売買することができるので非常に流動性は高いと言えます。
上記でも記載したように、不動産投資には多くの人が関係し、段階を経て購入することになります。簡単にそのステップを紹介すると以下のようになります。
基本的に上記のような手順を踏むのが一般的です。となると、明日にでも不動産投資を!と思ってもすぐに購入までいくことは難しいでしょう。購入の反対に売却や利益を得るのも時間がかかるので、流動性は極めて低くなってしまいます。
一方で、株式投資の流動性は極めて高く、証券会社に口座を作成していて、平日であれば一瞬で株の売買をすることが可能です。証券会社に口座を作るのも楽天証券のようなインターネット上で開設できるものであれば、翌営業日には株式投資を開始することが出来ます。
売買に置いても人は関与せず、自分のタイミングで出来るので流動性は高く、購入価格から値上がりしていたらすぐに利益を確定させることも可能です。反対に値下がりしていた場合もすぐに売却ができるので、気づいたタイミングで損失を最小限にすることもできます。
どちらの投資に対しても税金はかかるのが一般的ですが、ここでは優遇措置があるかについてを詳しく説明いたします。
項目 | 不動産投資 | 株式投資 |
税金 | 優遇なし | 優遇あり |
不動産投資にはいくつかの税金がかかりますが、ここでは家賃収入時に発生する所得税を中心にお伝えします。この他にも不動産を購入したときに発生する不動産取得税や所有権を得たときに発生する登録免許税などもあります。
課税対象となる所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円以上330万円以下 | 10% | 9万7,500円 |
330万円以上695万円以下 | 20% | 42万7,500円 |
695万円以上900万円以下 | 23% | 63万6,000円 |
900万円以上1,800万円以下 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円以上4,000万円以下 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円超 | 45% | 479万6,000円 |
不動産所得以外の収入も含めた計算になるので、今自分が得ている所得の合計と不動産所得をあわせて計算することになります。最高で45%もの税率がかかることになるので、トータルコストを考えた投資が必要になってきます。
一方で、株式投資で得た利益に対する税率は一律20.315%と定まっています。これはどんなに利益がでても変わることがないので株式投資の旨味と言っても過言ではないでしょう。また、NISA(少額投資非課税制度)は、毎年120万円の非課税投資枠があるのでより税金を抑えて投資をしたい若者が徐々に始めてるのが禁煙の流れです。
項目 | 不動産投資 | 株式投資 |
投資ハードル | 高い | 低い |
ここでいう投資のハードルとは新規で開始する際にかかるコストを中心に話します。先程の流動性のパートでは、時間的な制約について説明しました。では、新規で不動産投資や株式投資を始める場合にかかるコストはどうなるのでしょうか。
不動産投資で手軽に始められるものとして、不動産投資信託があり月に1万円程度から始めることができます。しかしこの記事で話している不動産投資は投資信託ではなく、自分で物件の一部もしくは一棟を所有するような投資をメインとしています。その場合は、頭金と諸経費が必要になってきます。
頭金は物件価格の10%が相場になり、諸経費は3%前後と考えるのが一般的でしょう。なので5,000万円のマンションを購入するとなると頭金(5,000×0.1=500万円)と諸経費(5,000×0.03=150万円)をあわせた650万円が必要になります。
もちろん物件の状態や不動産会社などにもよって異なりますが、だいたいこのくらいが目安となっています。
一方で株式投資の場合は、100株単位での購入が基本とされていますが、一株数百円の株から数万円の株まで幅が広いため比較的金額がかからずに始めることが出来ます。
お小遣い稼ぎで筆者も若いときに500円台の株を短期で売り買いを繰り返し利益をだしていました。しかし、なかなかまとまった大きな金額になりづらいのが悩みではありました。
最近ではライン証券のように一株単位で購入できるサービスもあり、より一層投資ハードルは低くなっています。
項目 | 不動産投資 | 株式投資 |
収益性 | 高くなりやすい | やや低い |
変動リスク | 低い | 高い |
初期費用 | 高い | 低い |
ランニングコスト | 高い | 低い |
流動性 | 低い | 高い |
税金 | 優遇なし | 優遇あり |
投資ハードル | 高い | 低い |
このように両者ともにメリットやデメリットがありそうですが、長期的な資産形成を目的とし、手元にまとまったお金があり、こまめに投資に時間を割くことができず、安定的な投資を行いたい方は不動産投資をおすすめします。
仮に不動産投資を検討するのであれば、不動産投資のデメリットである「初期費用・ランニングコスト」を極力抑えたワンルームマンション投資をおすすめします。
一方で株式投資をおすすめしたいのは、株価の変動にいち早く反応し売買の決定を出来る方かと思います。なかなかこの感覚は一朝一夕で身につくものではないので、常に市場の動向をチェックできるようなマメなタイプの方にはおすすめです。
不動産投資、株式投資のどちらも自分の資産形成をするには良い手段です。今の時代、単純な預金だけではなかなか思ったような生活ができないかと思います。自分の目的を明確にし、正しい投資で運用を行うようにしましょう。
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