資産運用トラの巻
 

日本政策金融公庫を活用した不動産投資の新しい戦略とは?

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大で、世界の経済は大きなダメージを受けました。3月に株価が大暴落しましたが、4月になってやや落ち着きを取り戻しつつあります。4月に日本で緊急事態宣言は発令されましたが、5月中旬になり一部地域を除き解除されました。

新型コロナウイルスの影響は長引くことが予想されていますが、不動産投資は今後どうなっていくか気になっている方は多いでしょう。特にこれから不動産で資産運用を始めることを考えていた人は不安が大きいと思います。

不動産投資の初心者は日本政策金融公庫で融資を受けるケースが多いでしょう。日本政策金融公庫の活用ノウハウを学んでおけば、役立つシ-ンもあるはずです。

この記事では、不動産による資産運用をお考えの方向けに、日本政策金融公庫を活用した不動産投資の新しい戦略について解説します。

※ 以下では日本政策金融公庫は「公庫」と省略して表記します。

公庫の融資は厳しくなった

以前は、公庫の不動産投資への融資期間は10年~15年でした。ところが、法定耐用年数超える物件への融資は最長でも10年までになりました。これは2018年のスルガ銀行の事件がきっかけになっています。

融資の基準は時代の変化とともに変わっていくものであり、支店や融資担当者によっても変わってくるものです。

公庫の融資は1〜2%という低金利で他の金融機関よりも有利ですが、法定耐用年数を超える融資は受けられないのが原則です。融資の相談をした物件が築古のケースでは、法定耐用年数を超えているという理由だけで融資を断られるでしょう。公庫のホームページにも、融資期間は最長で10年までと記載されています。

ただし、最長で20年までの融資を受けられる制度として、新企業育成貸付があります。

15年の融資が受けられたという事例がまれにありますが、それは新企業育成貸付を活用できたことが理由だと考えられます。ただし、審査の厳しい支店や担当者の場合、最長で10年というケースがほとんどです。新企業育成貸付の適用を受けられるかどうかは、支店や融資担当者に相談してみるまではわからないと思っておきましょう。

公庫へ相談して融資を成功させる4つのコツ

物件を購入するため公庫で融資を受けるケースが多いのですが、だれでも融資を断られるのは避けたいでしょう。そこでご紹介したいのが、公庫へ相談して融資を成功させる4つのコツです。

リフォーム資金という名目で融資を受ける

投資物件を購入するため有志を受ける場合、物件の担保価値や収益性について審査されます。審査基準を楽にクリアできる物件なら問題ないのですが、そうでなければ審査を通過するのが難しくなります。そのようなケースでは、リフォーム資金という名目で融資を受ける方法がおすすめです。

手順としては、まず物件の買い付けをして売買契約を締結し、リフォームが必要だということで公庫へ相談します。その際に、ローン特約を付けて契約しておくのがポイントです。

リフォーム目的の融資が通る場合は購入代金を支払いますが、融資が通らない場合は契約を取り消すことになります。

なお、物件を購入する場合は現金で支払うので、資金を準備しておくことに注意しましょう。

頭金を多めにする 

ちょっとでも早くキャッシュフローを出したければ、頭金を多めにするといいでしょう。

事例で考えてみます。

【事例】

500万円の物件でリフォーム代金が100万円かかるとします。家賃を6万円と想定すると年間利回りは12%です。

500万円は現金で払い、リフォーム代金は公庫で融資を受けます。頭金として500万円を払うとキャッシュフローは早期に出ますが、手元資金がなくなります。手元資金を温存しておきたい場合は、物件に300万円、リフォーム代金に300万円と振り分けると、現金が手元に残ります。

別のやり方としては、業者に頼んでリフォーム代金の見積もりを多めにしてもらい、自己資金の割合を低下させる方法もあります。

高収益物件で申し込む 

収益性の悪い物件について、公庫の融資を引きにくいという特徴があります。一方で、戸建てや区分マンションをオーナーチェンジする場合は、公庫は融資に応じてくれやすいのも特徴です。

ただし、オーナーチェンジは独特のリスクがあるため、投資経験が浅いうちは取り扱うのを避けた方が無難です。オーナーチェンジ物件が空き家の場合、収益性がゼロという評価を受けるためではないかと考えられます。収益性が低い物件は空室が埋まらなければ経営難に陥るリスクが高いため、公庫としては成功する可能性の低い事業は支援できないということでしょう。

マル経融資で融資を申し込む 

マル経融資を利用できれば、商工会議所や商工会へ加入して経営指導を受けている経営者は金利1%台で2000万円まで融資を受けられます。マル経融資のメリットは、無担保で融資を受けられることです。所有している物件に担保を設定しない代わりに、これまでの事業実績や返済していく力があるかどうかを審査されるのではないかと推測されます。返済をスタートさせるまでに1~2年の期間があるので、余裕のある資金計画を立てることが可能です。

マル経融資は商工会の中で審査があり、それを通過すると商工会から推薦を受けられます。推薦を受けると、公庫の審査はすんなり通過するケースが多いでしょう。

築古か新築かだけにこだわるべきではない 

現在は、法定耐用年数を超えた物件で融資を受けるのは難しくなりました。こうなると、できるだけ融資期間を長くしたいと考え、新築アパートでの投資を考える人も多いでしょう。

ところが、新築アパートが融資をうけやすいかというと、決してそんなことはありません。新築アパートの場合、かなり実績がある人でも購入代金すべてにローンを組むことは難しくなっています。ローンでカバーできない部分は自己資金となりますが、新築アパート1棟だと1億円も珍しくないのでかなりの頭金を準備しなくてはなりません。

これらを考慮すると、築古と新築のどちらを選択するかはどのような価値観で資産運用するかにかかってきます。

では、築古と新築のどちらが有利なのでしょうか。

まず築古は家賃が下落しにくいのですが、修繕することが多くなります。ボロ物件を選ぶと、いくらキャッシュフローができても修繕費であっという間に消えてしまいます。

一方、新築なら10年は修繕することはありませんが、初期の借入額が多くなります。また、キャッシュフローが出てきても、それほど多額ではありません。

どちらが有利とは言えませんが、どちらでも成功する人はいます。大切なことは、自己資金を十分に準備しておくことです。

まとめ

新型コロナの感染拡大は社会に大きな影響を及ぼし、投資環境もこれまでとは大きく変化しました。一方で、人が存在する限り、居住用のマンションやアパートの需要が衰えることはありません。新型コロナによる緊急事態宣言が解除された後も、居住用アパートやマンションへの投資は手堅い資産運用の対象となることが予測されます。

今後も、不動産で資産運用をされる方にとっては、公庫で不動産投資の融資を受ける戦略は重要となるでしょう。

公庫で融資を受けるのに抵抗のある方は、少ない資金で不動産投資を始めるのはいかがでしょう。少額でもスタートできる不動産投資サービスも登場していますので、初心者でも取り組みやすくおすすめです。

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