最近では老後の生活資金が年金のみで賄えないとも言われており、老後2,000万円問題などと世間では騒がれています。
その老後の生活のために検討されている方が増えているのは「不動産投資」。中でも少ない自己資金を大きく膨らませることができる「アパート経営」に注目する方もいるかと思います。
しかしアパート経営を始めるには発生する初期費用を知った上での検討が必要です。どれほどの初期費用が発生するのか、それに合わせて自己資金の準備。場合によってはローンを組む必要も出てきます。
今回はアパート経営を始める際の初期費用を項目などに分けて解説します。
Contents
アパート経営を行うときに必要な自己資金を見るため、まずはアパート経営を始める際にかかってくる初期費用を見ていきましょう。
ここでの初期費用とはアパート経営で必要な諸費用を指しており、物件に対しての費用である頭金とは分けて考えることとなります。
新築アパートの場合はまず物件の建築からスタートのため、建築費用等が発生します。
また、土地を保有していない場合は建築するための土地の購入も合わせて行う必要があるため初期費用としては不動産投資の中でも額が大きくなります。
中古アパートでは物件はすでに存在するため、土地を含めた物件の購入という形になります。中古のため建築費用も発生せず、新築マンションに比べると当然費用を抑えることが可能です。
ただし物件購入時にローンを組んだり、必ず発生する税金関連は中古アパートの場合も初期費用として支払う必要があります。そのため新築アパートで発生する諸経費を、中古アパートでも同様に支払うため、その自己資金は準備が必要でしょう。
新築でのアパート経営を行う場合、最初に行うべきはアパートの建築になります。
一般的に、一部屋7坪のワンルームを6部屋置く場合の建築費用はおよそ3,700万円前後となるでしょう。
ただしこれは単純計算での金額になるため、条件によってアパートの建築費用は異なります。その条件とは
1.規模・設備
アパートの設備や間取り、階数によって金額は変動します。
アパート建設予定の周辺エリアにどのような賃貸ニーズがあるのか、ニーズに合わせて間取りを変えたり、設備の充実を図る必要があるため期待できる家賃収入とニーズに合わせたアパートの建築費用はバランスを取ることも大切です。
2.構造
アパートの構造によっても建築費用が変動します。
一般的には鉄骨造・木造が多く、木造の場合は坪単価が77〜97万円、鉄骨造の場合は坪単価80〜105万円となっています。
建築を行う場合、事業用ローンを組む場合がほとんどですが、建物の価格や融資を受ける人の収入などによりフルローンを受けられるか、頭金や諸経費を求められる場合もあります。
また頭金を多く入れることで金利を下げてもらう、融資を通しやすくするなどメリットもあるので、頭金を支払うための自己資金は確保した方が良いでしょう。
また土地購入においても自己資金を準備した方が良いでしょう。
土地購入は建物が完成したのち住宅ローンが実行された後で返済という形が一般的ですが、家賃収入が入るまでは手元の資金で返済する場合もあるため、自己資金が不足していると返済が滞る可能性もあります。
諸経費においては基本自己資金から支払う形になるため、一定額の自己資金を準備する必要があります。
◆ローン事務手数料
本手数料については金額交渉を行うことは難しく、銀行にもよりますが定額のところが多くなります。
◆ローン保証料
手数料のほかにローンの保証料も発生し、借入額の1~3%が目安となります。
◆土地仲介手数料
土地仲介手数料は土地代金の3%+6万円が最大でかかります。
これは減額交渉も可能なため、相談することをお勧めします。
◆火災保険料・地震保険料
火災保険への加入は銀行の融資を受ける上で必須となることが多く、支払いが発生します。また災害大国である日本では地震保険にも加入した方が安心でしょう。
◆印紙代
高額商品を購入する際の契約書には収入印紙を張る必要があるため、その代金が発生します。印紙税は金額によって異なり以下のような設定となります。
売買金額 | 印紙税額 |
100万円超500万円以下 | 2000円 |
500万円超1,000万円以下 | 10,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 20,000円 |
5,000万円超1億円以下 | 60,000円 |
1億円超5億円以下 | 100,000円 |
◆不動産取得税
不動産取得税は土地・建物等の不動産を取得した際に発生する税金であり、新築アパートを建築した場合にも発生します。購入からおおよそ半年〜一年半の間に納付通知書が届くためチェックが必要です。
税率は以下の通りです。
取得した不動産の価値(課税標準額)×税率
取得日 | 土地 | 家屋(住宅) | 家屋(非住宅) |
平成20年4月1日から令和6年3月31日まで | 3% | 4% |
◆登記費用
登記にもいくつか費用項目があり、登記手続きの際は以下関連して支払う必要があります。
費用項目 | 算出方法 |
司法書士報酬 | 事務所による |
土地の所有権移転登記費用 | 土地価格の2% |
建物の所有権保存登記費用 | 建物価格の0.4% |
ローンは自己資金が少ない場合のレバレッジの手段としては有効です。ただし、ローンに頼りきって自己資金を投入しない場合は金利が抑えられない、諸経費の支払いができないなどアパート経営絵の影響も大いにあります。
そのため購入・新築物件に対して、どれほどの自己資金を準備すべきかバランスを見た上で不動産投資を行うようにしましょう。