コロナショックにより株式相場は大きなダメージを受けましたが、不動産投資の相場はそれほど影響がありませんでした。そのため、不動産で資産運用をしたいと考える人が増えているようです。
ただし、どんな投資対象でも収益を生むこともあれば、損失が発生することもあります。
実際に投資する前に対象資産にどんな特徴があり、どういう人に向いているかを、把握しておくことが大切です。
この記事では、不動産で資産運用を始めたい方向けに、代表的な4種類の不動産投資のメリットとデメリットを解説します。
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区分マンション投資とは、マンションの一部屋単位で購入して賃貸経営する不動産投資です。入居希望者と賃貸借契約を締結して、長期間にわたって安定的な収益を見込める堅実な投資です。アパ-トの場合は1部屋単位で販売されることはないので、マンションだけの投資方法と言えます。
区分マンション投資は初心者に向いています。理由としては、以下のようなことがあります。
区分マンション投資の経験を積んでいけば、ノウハウを身につけられ、金融機関から融資も受けやすくなるため、中級者にも向いています。
区分マンション投資には、次のようなメリットとデメリットがあります。
・幅広い投資額
区分マンションは数百万円で購入できる物件もあれば、億超えの高級物件まで幅広い選択肢があります。
・豊富な物件数
物件の数が多いためじっくりと比較検討できます。
・売却しやすい
株式や債券ほど現金化しやすくはありませんが、他の不動産と比べると需要が高いので売却しやすくなります。
・空室リスク
入居者が出て行くと家賃収入が入ってこないリスクがあります。
・修繕積立金がかかる
修繕積立金は毎月かかります。家賃収入がなくなっても支払わなくてはなりません。
・自分でコントロールできない部分が多い
一棟マンションはすべて自分の思い通りにできますが、区分マンションは他の所有者に配慮する必要があります。管理やリフォーム、建替などについて、他の所有者と足並みをそろえなくてはなりません。
一棟投資とは、アパートやマンションを一棟まるごと購入して、賃貸や売却により収益を上げる投資です。アパート一棟の場合は中規模の資金が必要になり、マンション一棟の場合は大きな資金が必要になります。
一棟投資は大きな土地を所有している地主に向いています。中古物件を購入する方法もありますが、初心者が取り組むのは難しいジャンルです。不動産投資の経験を積んでからチャレンジするのをおすすめします。
一棟投資には、次のようなメリットとデメリットがあります。
・家賃収入がゼロになるリスクが低い
一棟の場合は部屋が複数あるので、多少の退去者があっても家賃収入がゼロになるリスクはほとんどありません。
・高利回り
区分マンション投資に比べると、一棟投資は高利回りが期待できます。
・管理ルールを決めやすい
一棟すべて所有しているので、賃貸人を管理するルールを決めやすくなります。
・管理や修繕をコントロールしやすい
修繕積立金の積み立ては不要で、そのときの資金に応じて修繕やメンテナンスができます。
・物件の資産価値が高い
土地が自己所有なので物件の資産価値が高く評価されます。売却するときに有利です。
・購入手続きが完了するまでに時間がかかる
マンションやアパートを建築する場合、建設会社を選んでから完成した建物を所有するまでに時間と手間がかかります。
・管理が簡単ではない
区分マンション投資の場合は管理会社を通じて管理するため簡単です。ところが、一棟投資の場合はすべて自分で管理するので難しくなります。管理会社へ依頼するという方法もありますが、手数料がかかり利回り低下のリスクがあります。
・空室リスクがある
建物が老朽化すると人気が低下して、空室が増えるリスクがあります。
戸建て投資とは、戸建て住宅を所有して賃貸経営をする投資です。
自分で土地を所有している地主に向いていますが、土地はマンションやアパートを一棟建てるほど広くないケースが多くなります。
戸建て投資には、次のようなメリットとデメリットがあります。
・ライバルが少ない
戸建て投資の物件はアパートより少ないので、競争相手はそれほど多くありません。
・資産価値が高い
土地と建物をワンセットで所有できるため、土地が借地の場合よりも資産価値を高めることができます。
・所有するまでに時間がかかる
土地があって建物をゼロから建築する場合、建築会社をどこにするかということから自分で決める必要があります。そのため、建物を建築して自分のものとするまで時間と手間がかかります。
・維持管理費が高くつく
区分マンションは他の所有者と共同で維持管理費を負担しますが、戸建ての場合はすべて自己負担なので高くなります。
・空室リスクが高い
アパートほど人気がないため、空室になるリスクが高くなります。
J-REITとは、不動産を投資対象とした投資信託のことで、不動産投資信託とも呼ばれています。多くの投資家から集めた資金で不動産を購入し、信託会社が運用して得た収益を分配する仕組みになっています。
J-REIT少額の資金で始められ、投資する不動産を選定する必要がありません。そのため、資金があまりない人や投資経験の浅い人に向いています。
J-REITには、次のようなメリットとデメリットがあります。
・少額投資が可能
1万円という少ない資金でも投資できます。
・プロに運用を任せられる
不動産の運用をプロに委託するため、購入後は何もする必要がありません。
・選択の幅が広い
銘柄数が豊富で、安定した利回りの銘柄から、海外のハイリターンの銘柄まであります。
・簡単に現金にできる
J-REITは市場での流動性が高いため、すぐに現金化できます。
・税金面で有利
J-REITを購入する際に、不動産取得税が課税されません。
・修繕費の心配をしなくていい
修繕費については運用側で考えてくれるので、急に修繕費が必要になるという心配はしなくてすみます。
・クレーム対応をしなくていい
物件の入居者との直接契約ではないため、クレーム対応をする必要がありません。
自己資金での投資が普通で、融資を受けるケースはまずありません。
・融資を受けられない
・信託会社の破綻リスク
運用を委託する信託会社が破綻すると、J-REITが現金化できなくなったり無価値となったりするリスクがあります。
・自分で物件に住めない
自分で物件を購入して投資する場合と違って、物件に自分で住むことはできません。J-REITの実体は投資信託だからです。
今回ご紹介したのは代表的な不動産投資4種類で、ほとんどの不動産投資家はいずれかに取り組んでいます。不動産投資は堅実な資産運用をしたい人には向いていますが、奥の深い投資です。不動産投資について学ぶのと同時に、常に新しい情報を入手していく必要があります。
自分に向いている投資対象が見つかったら、深く掘り下げて慎重に投資を始めることが大切です。