資産運用トラの巻
 

不動産投資の初心者へ!日本政策金融公庫の融資基準を教えます

不動産投資をする場合には金融機関の融資を活用することが多くなりますが、投資初心者に融資してくれる金融機関は多くありません。投資の実績がないのですから当然のことですが、不動産投資の経験のない人でも日本政策金融公庫なら融資してくれます。

ただし、投資経験のない人に融資してくれるといっても、日本政策金融公庫にも融資基準はあります。この融資基準は一般公開されていないので、融資を受けたい人はどういう基準なのか知りたいでしょう。

この記事では、不動産投資の融資を受けたい初心者向けに、日本政策金融公庫の融資基準をご紹介します。

サラリーマン投資家への融資

サラリーマンが初めて不動産投資をする場合、できるだけリスクを抑えたいでしょう。そこで、おすすめなのが小規模の中古物件で、数百万円から一千万円ほどの価格帯です。経験が浅いうちは、これくらいからスタートするのをおすすめします。

そのような物件で初心者に融資してくれる金融機関としては、以下のような金融機関があります。

・地方銀行

・信用金庫、信用組合

・オリックス銀行

・三井住友トラストL&F

・セゾンファンデックス

・日本政策金融公庫

金融機関の選択肢はそれなりにあるのですが、地方銀行や信用金庫、信用組合は中古物件で融資を受けるのには向いていません。中古物件でも対応してくれる地方銀行はありますが、融資条件が厳しくなります。

オリックス銀行や三井住友トラストL&F、セゾンファンデックスはノンバンクですが、3%〜4%ほどの高金利なのでおすすめではありません。利回りが高く回転率の良い物件であれば融資を活用して購入することも考えられますが、初心者にはハードルが高くなります。

したがって、不動産投資初心者向けにおすすめなのは、日本政策金融公庫ということになります。

日本政策金融公庫の融資制度

日本制作金融公庫には、以下の3つの融資制度があります。

新規開業資金制度

日本政策金融公庫の融資は他の金融機関とは異なり、属性の低い人や自己資金があまりない人でも融資を受けるチャンスがあるのが特徴です。審査の厳しい金融機関では、年収だけであっさり審査落ちするところもあります。

一般的に日本政策金融公庫の融資は10年なので、不動産投資をするのには厳しいと言われることがあります。これは最近に限った話ではなく、以前も10年という融資期間でした。以前なら15年や20年の融資期間が設定されていたという話がありますが、それは新規開業資金制度を利用した融資だったのです。

新規開業資金制度とは創業関連の融資制度であり、これから新規に事業をスタートする人や開業して7年以内の人を対象に融資されます。

ただし、不動産業の場合は、2期以上の実績か不動産業界での勤務経験があることが融資を受ける条件となっています。融資期間が20年というメリットがありますが、貸付残高は1000万円以内という制限があるので注意が必要です。この制度は小規模な物件を購入する場合に向いています。

女性、若者/シニア起業家支援資金制度

日本政策金融公庫では、女性や若者、シニア起業家の支援目的で、不動産賃貸業をする人に融資をする制度があります。以前は、融資期間が15年~20年という時代もありました。ただし、この制度は女性や若者、シニアだけのオリジナル性のある事業だけを対象としているため、この条件をクリアするのは難しいという問題があります。

例えば、女性の視点から防犯面に重点を置いたアパートを経営するとか、女性に人気のある内装にリフォームするなどをアピールしないと審査をクリアできないのです。この制度の主旨にマッチしたプレゼンテーションをすれば、融資を受けられる確率は高くなります。

女性、若者/シニア起業家支援資金制度の融資を受けられたという話は投資本などに見かけますが、融資が認められる事例は少ないのが現実です。

実際に日本政策金融公庫のいくつかの支店に問い合わせても、この制度で融資が認められた事例は確認できませんでした。

セーフティネット貸付

セーフティネット貸付とは、個人や中小企業経営者を対象とした融資制度です。経済的な不安や、金融危機、取引先の経営悪化などが原因で経営が悪化した場合、危機的情況が回復の見込みのあるケースに限り融資を受けられます。

この制度の目的は売上の安定化を図ることであり、将来的に業績が回復する見込みがないと活用できません。不動産賃貸業を経営していると空室が埋まらず、経営的に厳しい情況になることがあります。そのような場合に積極的に利用する制度です。

不動産投資で日本政策金融公庫を利用するための戦略

ここまで日本政策金融公庫で利用できる融資制度についてご紹介してきましたが、ここでは、不動産投資で日本政策金融公庫を利用するための戦略について解説していきます。

初心者が日本政策金融公庫を利用する場合、普通貸付では融資期間10年というのが一般的です。融資期間10年というのは不動産投資では決して有利な条件ではないため、手元に残るお金は少なくなります。そこで、普通貸付において新創業融資を適用してもらい、融資期間10年で無担保の融資を受けるのです。

最初の物件は融資期間10年の無担保融資を受けて、2件目のアパートは共同担保とすることで次のステージへ進みます。不動産賃貸業の経営を本格的にしていくのなら、このような戦略を立てるべきです。

ただし、無担保融資を受けられる融資額は400万円が上限で、500万円の無担保融資を受けられることはほとんどないでしょう。日本政策金融公庫の融資は、担保の提供が原則だからです。

したがって、無担保融資は例外であり、10年間でしっかりと収益が上がることをプレゼンテーションの段階でアピールする必要があります。この点を日本政策金融公庫の担当者は審査すると思っておいてください。

具体的な融資の活用事例

ここまで融資制度の概略について説明してきましたが、具体的な事例がわかればさらにイメージしやいと思います。以下では、日本政策金融公庫の融資を活用した具体例をご紹介します。

【事例】500万円の戸建て住宅を購入する場合

自己資金:300万円(リフォーム費用と諸費用を含む)

融資額:300万円(無担保)

融資期間:10年

金利:2%ほど

以上の条件の場合、毎月の返済額は28000円ほどになります。家賃を7万円ほどに設定すれば、毎月4万円ほどのキャッシュフローが発生します。この設定なら自己資金300万円で年間48万円ほどのリターンになるので、利回りは16%ほどです。

このように運用すると月々4万円のキャッシュフローが発生して、完済すると無担保の物件が資産として手元に残せます。資産運用において、キャッシュフローと資産形成の両方を手に入れることには大きな意味があります。

まとめ

日本政策金融公庫の無担保融資を受けられると、投資のスピードはアップしていきます。自己資金や共同担保が必要になった場合でも、無担保物件を所有していれば強力な武器になるからです。不動産投資の経験のない方は、まずは日本政策金融公庫の融資を受けることをおすすめします。

今回は不本格的な動産投資を始めるお話をしましたが、最近では少額資金で気軽に不動産投資ができるようになりました。金融機関から融資を受けて不動産投資することに抵抗のある人は、まずは気楽に少額の不動産投資から始めてみてはいかがでしょう。

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