株はギャンブルに近い、運良く利益が出てもそれは一時的なものだ、といったイメージがあるかもしれません。そしてこのイメージは間違いではないです。しかし株の一側面だけを見た判断と言えるでしょう。
ひとことに株式投資と言っても複数の戦略があり、特に短期投資、長期投資、投資、投機、キャピタルゲイン、インカムゲイン、といった概念が重要になります。まずはこれらの違いを把握し、資産形成に有効な方法を選択することが重要です。
少なくともチャートに張り付いて瞬間的な勝負をするだけが株式投資ではないので、適切な手段を取れば資産形成のための有効な手段になります。株を資産形成に有効な手段にするために、まず株式投資の分類を説明し、その上でどの手段を選択すべきか解説していきます。
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株式投資の種類分けで真っ先に挙げられるのが短期投資と長期投資です。短期と長期の間の中期投資という区分が設けられることもあります。これらの違いは株を保有する期間で、短期投資はその日のうちか、数日程度で売却します。
長期投資は数年間~数十年間株を保有し続け、株価の大幅上昇を狙う手法です。中期投資は短期と長期の間で、数ヶ月~1年程度の保有が一般的でしょう。
投資と投機は似て非なるものです。まず株での投機とは、安く買って高く売る、という手法です。株式投資で一般的にイメージされる、デイトレードに近い取引です。株式投資はギャンブルだ、という認識の方もいるかもしれませんが、その認識に近いのが投機的取引になります。
一方で、投資は企業に出資し、企業の成長を期待するタイプの取引です。厳密には微妙に異なるのですが、以下のような認識を持っておけば今後の情報収集で混乱せずに済みます。
投資=長期投資
投機=短期投資
投資はじっくり企業の成長を見守る運用で、投機は株価が伸びたらすぐに売却して利益を得る投資手法です。
次に知っておくべき概念がインカムゲインとキャピタルゲインです。まずインカムゲインとは、株を保有している企業からもらえる配当金です。株を持っているだけで入ってくる利益なので、不労所得です。日本では配当金だけでなく、株主優待もインカムゲインに含みます。
一方で、キャピタルゲインは株の売買によって得られる利益のことです。株による利益と言えば、一般的にキャピタルゲインを指すケースが多いでしょう。上で挙げた知識と合わせてまとめると、以下のようになります。
投資=長期投資=キャピタルゲイン+インカムゲイン
投機=短期投資=キャピタルゲイン
投資で株を長期的に保有していれば、キャピタルゲインだけでなく、インカムゲインが入ってきます。むしろ売却しない限りキャピタルゲインは入ってこないので、インカムゲインが中心と言えるでしょう。
投機は短期的に売買を繰り返す手法なので、インカムゲインを受け取る間がありません。そのため投機はキャピタルゲインのみで稼いでいく手法です。
短期投資、長期投資の違い、その他関係する用語の解説をしました。ここまででおそらく予測は付いているかと思いますが、資産形成にベストなのは長期投資です。つまり投機ではなく投資で、キャピタルゲインとインカムゲインの両方で資産を増やしていくことになります。
短期投資での資産形成に成功している事例も多々ありますが、難易度が高くリスクも大きいです。またチャートに張り付いている必要があるので、日中普通に働いている方だと時間的に厳しいでしょう。
短期投資で資産形成できる可能性もありますが、逆に失敗して資産を一気に失うリスクもあります。安定的かつ少ない労力で不労所得を作っていくには、長期投資が合っています。
株をやるなら短期投資よりも長期投資の方が資産形成につながると説明しました。次に、具体的になぜ長期投資で資産形成できるのか説明します。長期投資で資産形成できる理由として、以下が挙げられます。
デイトレードのようにチャートに張り付く必要がない
短期投資よりもリスクをコントロールしやすい
複利により雪だるま式に資産が増える
以上の理由から、株の長期投資は資産形成に有効です。まず長期的な資産形成を考える上で、日々の生活が圧迫されていてはいずれ崩壊してしまうでしょう。たとえばサラリーマンとして勤務しながらデイトレードを行った場合、仕事の合間にチャートを見ることになります。
仮にいくら暇な職場でも、四六時中スマホやパソコンでチャートを見ているのは難しいはずです。チャートから目を離していると当然専業のトレーダーや機関投資家に比べて圧倒的に不利になります。
その点長期投資なら常にチャートを見ている必要もないので、無理なく資産形成が可能です。長期投資は短期投資と異なり短期的な株価変動を狙って投資するわけではありません。また資産、銘柄、時間を分散することが可能です。
短期的な利益は狙わない分リスクが低い投資方法なので、デイトレードのように一気に資産を失う心配がありません。この点でも長期投資は資産形成に向いています。
最後に、長期投資だと複利効果が働きます。複利効果とは、資産運用で得た利益、利息をそのまま投資してさらに膨らませていく効果のことです。増えた元本をそのまま株に回すことで、資産が大きくなります。
長期投資は短期投資ほど日々目を光らせて株のことを考え続ける必要がありません。とはいえ、何も考えなくて良いわけでもないです。そこで長期投資の際に考えるべきポイントについてまとめます。
以上のポイントをあらかじめ考えておく必要があります。まず資産配分ですが、通称アセットアロケーションと呼ばれるものです。株だけでなく他の金融商品にも投資を行う場合、どの商品にどれだけ投資するのか事前に決めておくということです。
次に長期投資においては投資先企業についても知っておくべきでしょう。長い付き合いになる前提なので、目先の利益だけでなく、企業を総合的に見て今後伸びるかどうかを判断します。
投資市場全体を見ることも重要で、多くの企業は市場に影響されます。つまり投資家の資産にも影響を及ぼします。金融危機など景気が大幅に変動するタイミングだけでなく、日頃から相場やニュースは見ておいた方が良いです。
長期投資なら損切りはそこまで深く考える必要はない、と思われるかもしれませんが、長期で保有している分心理的に短期投資よりも損切が難しかったりもします。保有しておけばいずれ伸びるだろう、と思ってしまいがちで、実際持ち直すこともあります。
しかし市場の変化でビジネスモデルが通用していない場合などは、よほど社内で革命的なことが起こらない限りそのまま衰退していく可能性が高いです。世の中の多くの会社が失敗して倒産することも鑑みて、損切のタイミングは明確にしておいた方が心理的に株を手放せなくなることがなくなるでしょう。
最後の資産形成プランは事前にある程度考えておいた方が良いです。もちろん途中で変更しても良いのですが、資産目標や時期の設定を考えておいた方が、一時的な感情に任せた投資をしてしまうことがなくなります。
株は資産形成に有効です。短期投資は資産形成というよりも一攫千金のイメージに近いですが、長期投資なら株自体が資産になり、安定的に利益を増やしていくことが可能です。事前に投資プランを明確にし、無理のない戦略に基づいて安定的な投資を行うことが資産形成には重要になります。